Morning, Noon & Night

随筆みたいなもの。言えない事もあるけれど、出来うる限り人生オープンで生きていたい。

感覚が狂ってくる話

 JBLやマークレビンソンとかのハーマングループを、「最近ずっとパッとしてないからもういいよあそこ。新製品発表会呼ばれてないし、呼んでもケチョンケチョンに言われるから嫌なんだろ。ゲラゲラゲラ(笑)。(注: 意訳です)」みたいなのをいきつけにしてしまうと、基準がおかしくなってくる。

 そりゃまあハーマンの特別試聴室は立派だったが、あの音で1500〜2000万円なら他社製も一緒に検討すべきだと思ったりしたものな。カーオーディオは670GTiが660GTiと比較したら作りが酷くて音を鳴らすまでも無い品質だとか(そもそも価格が1/3になっている時点でたかが知れている)、ホームオーディオは過去作のマイナーチェンジという焼き直しばかりで目新しさは無く、一時代を築いた個性的な時代と違って今は牙を抜かれて大人しい音になっちまってるのは俺もわざわざ上京して特別視聴室まで聴きに行った実感として分かる。なにせ軽く1500万円超はするオーディオシステムの試聴室がある10数m先で4,000円程度のスピーカーを売ってるんだぜ。それが真実でしょ。ホームオーディオ2年目の俺ですら「バカじゃないの?」と思ったくらい。それが売れ線なのだろうから店先に置いておくのは理解できるが、「いつかは高級品を…」という人のために高級スピーカーの展示もしていない。そういうやる気がない。安物と、安物に毛が生えたくらいの金額の商品ばかり。

 (余談: 最終的にアナログで入出力されるものは部品の製造や組み立てを含めて品質が命なわけで、いきつくところの分かりやすい目安は「品質=お金」。スピーカーもマイクも基本は同じ。だいたい比例する。メジャーなメーカーはブランド価格も上乗せされる。マイナーなメーカーは有名ブランドと同等のをより安く提供してくる可能性はあるけれど、歴史が浅い分だけいつまで続くかは不明。マイナーチェンジでカタログスペック上で変化はなくともこっそりコストダウンして実際のところ質が落ちている事もある。)

 企業だから一枚岩というわけでもないという話とか、名スピーカーの設計者達や、製造の熟練工も大部分が去っていったとか、真偽は不明ながらヤバゲな話も聞いたり聞かなかったり。まぁ最近のハーマングループはオーディオよりも他の事業で収益を上げているから、ほんとオーディオは手抜きになってるんだろうなと。割に合わないというのもあるだろう。まぁ、話を聞いていて思うのは、昔からJBLやマークレビンソンと懇意にしていただけあって、昨今のコストダウンによる品質手抜きしてそろばん勘定をするという、経営路線を品質から商売メインに鞍替えしたのが気に入らんようで。

 オーディオという、馬鹿野郎が製品を作って売って、馬鹿野郎がそれを買うというサイクルから外れたものは「もういい」という事なんだろうなと。終わりのない道を、飽くなき探究を辞めたものには用が無い。そういうストイックさを無くしたら事実上の終わりなのだろう。趣味ってそういう面もあるからね。個人的にも、コストパフォーマンス重視でなんらかの趣味をやってる人がいたら「ふーん」しか思わないし。

 趣味・仕事に限らず、どんな分野、どの業界でもそう。ある程度以上の本気で取り組んでいる人と、片手間でやってる人とではやっぱり違う。態度、口調、行動、優先度の付け方、みんな違う。