Morning, Noon & Night

随筆みたいなもの。言えない事もあるけれど、出来うる限り人生オープンで生きていたい。

HARMANの特別試聴室に行ってきた話

*ここに書いてあるのは個人の感想です。自分はJBLユーザーです。カーオーディオはJBL 660GTiとJBL PX300.4を使用してるし、自室にはJBL S101とJBL 075の組み合わせ、他にJBL 4312 MIIを使用してます。

 

2017年8月5日(土曜)に東京都の六本木にあるHARMAN Store 東京ミッドタウン店に行ってきました。

目的は予約制の特別試聴室にてEVEREST DD67000を試聴する事。話には聴いても実物を見る機会は限りなく低い。いや、所有している人物がいるという話はある意味で「蛇の道は蛇」といったところで伝え聞くものの、なかなか「紹介してくれ」とも言えず、上京すれば大本営HARMANのオーディオ構成で聴けるという点で今回予約をした次第。

 

HARMAN Storeを視察

予定通り目的地へ到着し、試聴前にまずHARMAN Store直営店の店頭品揃えを見たところ、個人的には壊滅的に酷かった。

基本的に置いてあるのは価格が安く、品質もそれなりのものばかり。サイコロみたいなサイズと小さい箱もの、harman/kardonのデザイン重視スピーカーも展示していた。

JBLのプレミアムアクティブスピーカーというLR一体型のスピーカーもあり、店員さんは「こちら300Wモデルになっております」と説明をしてくれた。実質は3wayの2chであり出力は50W * 6chだから合計は確かに300Wで相違なかろう。定義がわからないのだがアンプはch数分の出力を合計した値で示すのだっけか。それはともかく130mmのウーファーは低音を出すには力不足もいいところではないだろうか。

四角いまとな形をしたスピーカーはJBL 4312 MIIしかなかった。だが、これとて4312シリーズで最も小さいサイズではないか。

ここは六本木の東京ミッドタウンという、俺という茨城より来た田舎者から見れば一等地に他ならない地ではないのか。向こうの特別試聴室内に鎮座している1本約300万円のスピーカーEVEREST DD67000から20mも離れていない店頭で4000円程度からのスピーカーが売られている現実。なんだこれは。

これがもし売れ筋商品中心の品揃えだとしたら、今後の質の向上という物がどれほど期待できるだろうか。ある種のマイルストーン的に、ファンの購入目標となる製品が展示されていないのは何故だ。本当にここはHARMANの直営店なのか。

唯一の救いはAKGのヘッドフォンかもしれない。昨今のハイレゾ音源の普及拡大によりヘッドフォンが若干ブームになってきた感の流れも少なからずある。15万円オーバー、20万円近い物も一応ではあるけれど展示されていた。 

思い起こせばこの時点でショックによる動揺が少なからずあったと思う。

 

EVEREST DD67000を試聴

細かい話は省く。

試聴室に通され、軽く機材説明。記憶を頼りに記載すると

CD/SACDプレーヤー: MarkLevinson No.512

プリアンプ: MarkLevinson No.523

パワーアンプ: MarkLevinson No.534(アンプ側のコンセントが1個しか使用してなかったと記憶してるので、デュアルモノラルと認識している。)

スピーカー: JBL Project EVEREST DD67000

の構成。

質問したところ電源フィルターは無しで壁コンセントに直差しのこと。ケーブルについては質問しなかったが、漫画家のるかぽん先生によるレポート漫画によれば純銀らしい。

アンプは他にNo.585と確かNo.536がラックに置いてあった。希望すればNo.585を繋いで試聴可能とのこと。ただし試聴時にアンプを切り替える事は無しのルール。

疑問1: なぜモノラルパワーアンプのNo.536を2台使わずにデュアルモノラルパワーアンプのNo.534なのか。コンセントの電源供給の問題だろうか。

疑問2: なぜプリアンプにNo.52を使わずNo.523なのか。(No.526はデジタル入力も有るが今回はCDの試聴なのでNo.526を選ぶ理由が無いのは分からなくもない)

疑問3: なぜプレイヤーは現行品のNo.519ではなく前モデルのNo.512なのか。

好意的解釈をするならば、No.512はSACD対応だが、No.519はSACD非対応。なんでNo.519はSACD非対応になったのか。単体で軽く200万円オーバーの製品なので、コストが理由で省かれたとは思えない。考えたくない理由としては技術的な問題により品質基準をクリアできなかったケース。

まぁ、ともかく基本的に現行品を使用しているのだなという認識にしておいた。

そして実際に試聴。俺が試聴に選んだ曲は

1: マイルス・デイビス「KIND OF BLUE」から「So What」

2: サムライチャンプルーサウンドトラック「departure」から「1st.samurai」

3: ボブ・ジェームス「FOXIE」から「MARCO POLO

4: KOKIA「Remenber me」から「大事なものは目蓋の裏」

5: 任天堂ファミコン ミュージック」から「スーパーマリオブラザーズ」「スーパーマリオブラザーズ3

6: 上原ひろみ「another mind」から「XYZ」「Dancando No Paraiso」

以上。一緒に今回の試聴へ付き合ってくれた友人が試聴に選んだ曲は省略。

印象による感想は「音そのものの音質は素晴らしい。が、音楽としての質で考えると物足りない」。

JBLとMarkLevinsonという組み合わせは、ある意味でオーディオの一つの到達点とも言えると俺は勝手に思っていて、「これが最高の音です」と提示されてるのにも関わらず、素直に頷けない俺がいる。もちろん、自分勝手にハードルを上げすぎたというのも多分にあるとは思う。現実はこの音で限界なのだ、という意味ならばそれはそれでショックではある。本当にこれが限界なのかと信じたくないのかもしれない。

低音の量感や高音の抜けは本当に良い。しかし、良い意味でも悪い意味でもBGM的過ぎる印象がした。端的に言ってしまえばスピーカーの個性が弱い。

特にJAZZは俺の中のイメージと違っていた。俺は「演奏者がこの場で演奏しているかのような雰囲気」がある事・感じられる事を理想の一つとしているのだけれど、なんかコイツはちょっと違う感がした。

演奏者が演奏をした譜面を元に、正確無比かつ演奏者より精確な演奏で再現している「何者か」という印象ができてしまった。言うなれば「お前は誰だ」と。生の演奏者も、生演奏そのものも聴いたことなんて無いのに、そういう感情を持った。

もちろん利点もあり、KOKIAの歌声はコンサートホールで聴いてるかのように思えたし、ファミコン音源の矩形波も素晴らしい音だった。電子音との相性が良いのではなかろうか。基本的になにを鳴らしても一級品である事は間違い無く、そうなるとやっぱり好みの問題になってくる。

その後、帰宅してから自室のオーディオ環境である

CD/SACDプレーヤー: Pioneer PD-70

プリメインアンプ: DENON PMA-390AE

スピーカー: JBL S101とJBL 075

で試聴に選んだ曲を再生してみるが、音の質自体に格差がありすぎる。ウチの環境では1つ1つの音の力強さが全く足りない。翌日、目が覚めてまた同じ曲を再生して聴き比べてみた。結果は当たり前に変わらない。

「同じ曲なのに、違う曲として聴こえる。しかしやっぱり同じ曲だ。」

そういう意味で、オーディオという深遠なる世界の一端を垣間見た気がする。

HARMANのオーディオ事業の今後が心配ではあるけれど、個人的なオーディオ道として得た物は多かった。